田辺のぶひろの グリナリー・カフェ
第20回 2005年 8月 1日 グリナリー カフェ の トップページへ 過去の 記事を 見る 協賛企業 50音順
田辺のぶひろの グリナリー・カフェ
諸事情により、更新が遅れております。
お楽しみいただいている皆様には大変申し訳ありませんが
もうしばらくお待ちください。

今月のゲスト ゲストのプロフィール
稲木良光(いなぎよしみつ)氏
東海第一中吹奏部、静岡高校弦楽合奏部を経て東京音楽大学コントラバス科を首席で卒業。在学中より在京の主要オーケストラへ、エキストラ出演しながら各地の中・高等学校吹奏部トレーナーを務める。卒業後、国立音楽大学オーケストラ演奏助手及び霧島国際音楽祭招待アーティストを3年間務め、現在常葉短期大学音楽科非常勤講師・静岡コントラバス協会代表・国立オペラカンパニーコントラバス奏者・ロイヤルジャパンアンサンブル音楽監督・静岡クラシック音楽振興会代表を務めながら室内楽やソロを中心に活躍中。2001年にはミラノ・スカラ座管弦楽団の日本ツアーにてエキストラとして参加。静岡においてはテレビ・ラジオ等への出演も多い。

今回は昨年の「みどりの政経フォーラム」で素晴らしい演奏を聞かせてくださった稲木良光氏をお迎えしました。東京を中心に活動していた稲木氏がなぜ静岡で活動を始めたのか、その想いと、今までの活動・今後の方向について伺ってみました。(田辺)

稲木良光の
ちょっと気軽にクラシック

子供からお年寄りまですべての市民の皆様に送る初心者のためのクラシック入門コンサート

演奏:
稲木良光とロイヤルジャパンアンサンブル
友情出演:
静岡ユースオーケストラ
日時:
10月15日(土)
    開園14:00
場所:静岡市民文化会館
    大ホール
入場無料:当日直接会場にお越しください。
乳幼児をお連れのお客様も入場できます

主催:静岡クラシック音楽振興会
お問合:054-287-8885

稲木楽団による演奏会、稲木氏の講演会など県内であればどこにでも出向きます。
一度お問い合わせください。

お問合せ先:
静岡クラシック音楽振興会事務局
TEL:
054-287-8885

静岡音楽館AOI
コンサートシリーズ2005

****************
JSバッハ:無伴奏チェロ組曲+α連続演奏会
堤剛 チェロ・リサイタル
野平一郎(ピアノ)


日時:10月2日(日)午後3時〜
全指定 3500円
****************
マティアス・ゲルネ 「詩人の恋」を歌う
アレクサンダー・シュマルツ
(ピアノ)
日時:10月20日(木)午後7時〜
全指定 4,000円

詳細はホームページにて


Greenery Cafe(グリーナリー・カフェ)へようこそ!
グリーナリー・カフェとは「緑の喫茶店」 ナビゲーター田辺信宏とゲストとのトークによるインターネットマガジンです。
様々な分野の第一線で活躍する方に登場していただき、それぞれの分野においてどのようなビジョンを持ち課題に取り組んでいるのか、お聞きしていきます。どうぞご期待ください。
田辺信宏(たなべ のぶひろ)

昭和36年生まれ
早稲田大学(政経)卒業、
松下政経塾、英国留学を経て、平成3年、静岡市議会議員に初当選.
平成7年より静岡県議会議員(3期9年間)
現在は、静岡産業大学国際情報学部講師(国際関係論)
田辺のぶひろホームページ

このホームページに関するお問い合わせは
info@greenerycafe.jp
までお願いいたします。
田辺:本日はグリナリーカフェにようこそ。昨年のみどりの政経フォーラムでは素敵な音楽をありがとうございました。

稲木:こちらこそ。今日はよろしくお願いします。

田辺:一度ゆっくりお話を伺いたかったのですが、どういうきっかけで静岡で音楽活動を始められたのですか。

稲木:東京で仕事をしている時も今と同じような活動をしていたのですが、『静岡の芸術文化・音楽文化を盛り上げたい』という思いがあって東京で修行していました。ですので、『いずれは静岡に戻りたい』という思いもずっと僕の中にありました。

田辺:なぜ静岡なのですか。

稲木:生まれも育ちも静岡なのですが、静岡は他県の方からよく音楽の町静岡って言われるんです。他県に演奏活動に行って自分が静岡出身ということをお話しますと、『あっ、静岡は音楽の町だから文化的には良いんでしょ?!』って言われるのです。しかし現実には静岡県民の方は、静岡は音楽文化があふれる町だ、とは思っていないと思うのです。

田辺:浜松だけですね。

稲木:それも現実的には浜松市民も首をかしげざるを得ない部分がある。で、よくよく見てみると浜松にピアノ工場だけはあふれている。けれども文化的にはそんなにたいしたことはない、という現実がわかってきたのです。

田辺:なるほど

稲木:静岡にはたくさんのホールがあります。グランシップ、AOI、市民文化会館、民間のホールもたくさんあります。しかしいろいろな催し物が行われても、なかなかお客さんが入らないそうなんです。で、よく関係者から開催1週間前くらいに『チケットがぜんぜん売れていないので招待券をばら撒いてくれないか。』という連絡があって、招待券がドバッと来ることが多いのです。

田辺:そうなんですか。

稲木:静岡では興行が成り立たない、これはクラシックだけでなくポピュラー音楽でもスポーツエンターテイメントでもそうなのですが、プロモーターの方は静岡だけは避けたいと、皆さんおっしゃるんでね。

田辺:ビジネスとして成り立たないと。

稲木:そうなんです。たとえば全国ツアーを見ても大阪、名古屋と来て静岡を飛び越えて横浜・東京へというスケジュール表をご覧になった事のある方もおおいと思います。やはり静岡はお客さんが入らないためビジネスにならない。静岡ではそういう現実が私が子供のころからあったんですね。

田辺:それはクラシック音楽においてですか。

稲木:すべてのジャンルです。

田辺:そうですか。

稲木:私がおこなっているのはクラシック音楽でしたので、その方向から何とか自分の力で静岡のそういう文化的な部分を変えられないか、国内・海外のすばらしいアーティストが静岡に来て静岡の人も喜ぶ・来てくれた人も喜ぶという、そんな街に出来ないかということで、静岡での活動にだんだん切り替えてきたんです。

田辺:戻ってこられて何年になりますか。

稲木:事務所を静岡に構えてからは2年目ですが、静岡での地域密着型文化活動を始めてからは8年になります。

田辺:今までの歩みの中でビジネスとしては、いかがですか。また、市民の文化的な目線を高めたいという目標はどの程度達成されていますか。

稲木:実は活動を始めて5年間あればある程度変えられるんじゃないか、という気持ちでいたのですが、そんな甘くはなかったです。ビジネス的にも非常に厳し状態です。で何が厳しかったかといいますと、特に静岡県中部地区の方がそうなのですが、プロのアーティストとアマチュアのアーティストの差がわからないという方が非常に多かったんです。だから私が『プロでとして活動しています。』と言ってもそれがなかなか相手に伝わらない。アマチュアと混同されてしまう現実があるのです。で、コンサートに来ていただければ、『あっ、プロなのか』と、わかっていただけるのですが、コンサートに来てもらうところまでもっていくのに非常に大変な作業があるということ。それから、正直なことをお話しますと、これは私も予想外だったのですが、静岡県内、各市町村の行政がこういった文化芸術的なことに関してはかなり非協力的であったということがあります。

田辺:そうですか。

稲木:一応音楽家として、東京で11年修行してきましたし、他県を演奏ツアーで回ってくる中で、他県のいいところ悪いところもいろいろと見てきています。その上で『こういうものを取り入れたらどうだろうか。こういうことはやめたほうがいいんじゃないか。』といったことをいろいろな形で陳情とか、お願いをしたのですが、なかなか聞き入れてもらえない現実がありました。

田辺:何か具体的な例をお聞かせください。

稲木:まず、静岡に一番足りないのは小学校や中学校にプロの演奏家が出向いていって演奏会を行う、芸術鑑賞教室の開催というのが異常に少ないということです。他県では県なり、各市町村なりがどんな小さな学校でもある程度年に一度以上行うよう指導しているんですね。それに対して予算が足りなければ援助しますよと。しかし静岡市に関しましては一年間に十数校しか援助できない現実があって、あとの学校はやりたければどうぞ、やれなければそれでもいいですよ、という状態なんです。ほとんどの学校がプロの楽団を呼べるほどの予算はないわけですから、やりたくてもやれない現実がある。でもやらないわけにはいかないのでどうしようかというところで、プロを呼ぶとお金がかかるから、アマチュアを呼んでしまおう、ということになる。本当は授業の一環として一流のプロの演奏を聞くはずの芸術鑑賞教室が地域のアマチュアの発表会的な場になりつつあるんですね。それがもう15年・20年続いてきたものですから、だんだん静岡の文化レベルも下がってきてしまっていると、感じているんです。

田辺:小学校生の時、小さなときこそ、レベルの高い演奏を聴くことが望ましいということですね。

稲木:そうなんです。子供だからこそ、何がプロで何がアマチュアなのかわからないわけです。はじめて聴く演奏、始めてみる演奏会で、大人の人が黒い服を着て蝶ネクタイをつけていたらプロだと思い込んでしまうわけですね。その時少しでもいい演奏を、プロレベルのいい演奏を聞かせてあげて、『これがプロの演奏なんだ』ということを子供たちに見せてあげるべきだと思います。ただそれには私たち音楽家の力だけではどうしようもない部分がある。やはり地域・行政が一体になって、そういう文化作り、地域の子供の文化作りというものを一緒にやっていっていただけるとありがたいな、と思うのです。

田辺:稲木さんのコンサートを何度か聞かせていただいてすばらしいなぁとおもうのは、演奏技術やレベルはプロとして一流なのはもちろん、間口が広いんですね。肩のこらないステージを見せてくれる。『気軽にクラシック』というのがスローガンのようですけれども、あえて意識的にそうしているのですか。

稲木:そうなんです。どうしてもクラシック音楽といいますと一般の方には堅苦しいとかむずかしいとか、ちょっと敬遠されるような存在におかれています。けれども実は『ちょっと見方・聴き方を変えると、こんなに面白いんですよ、こんなに楽しいんですよ』ということを知っていただきたいと思っています。そのために現在私たちはとことん敷居を下げて、コマーシャル、ドラマ、アニメなどの曲もクラシック調にアレンジをして生演奏をお届けするというコンサートシリーズを展開をしています。ですから、幼稚園に行ったら幼稚園向きの曲をクラシック調で演奏しますし、老人ホームに行けばご年配の方向けの曲をアレンジしてという形をとっています。堅苦しい音楽を押し付けて『お前たち解れよ』ということではなく、もっとわかりやすいものをより楽しくお聞きいたいただくことによって、『意外とクラシックも面白いんだな』と知っていただく。そこからはじめることが大事かなと思って活動しています。

田辺:なるほど。稲木さんは芸術家の枠には収まりきりそうにもありませんね。(笑)クラシック音楽という素材を使って、街づくりという大きな発想で、もっとアクティブに何かしようとしている。そんな大きさを感じます。活動していてジレンマを感じることもあるんじゃないですか。

稲木:そうですね、自分の音楽ビジネスを展開していく中で地域の議員さん方にお世話になることもあったのですが、痛感したのは文化芸術担当の議員さんというのが、今までも今も一人もいないということです。これは静岡市も他の市もそうですが。静岡市内には、音楽だけではなく美術・造形・バレーやダンス・演劇など、文化芸術に親しんでいる市民の数は約10万人弱いるといわれています。。それを踏まえて、本当の文化芸術、いわゆる末端の下の下の部分までの現実を知っている方が、静岡ですと53の議席がある中で、議員として一人二人いてもいいのではないか、もしくはいるべきではないのかと思うのです。このことはこれからも訴えていきたいと思いますし、そういう方があらわれるのを望んでいきたいと思います。

田辺:そうですね。確かに20世紀は道路の専門家、福祉の専門家という議員はいたかもしれないけれど、文化芸術にそれなりの見識を持っている議員はいなかったですよね。

稲木:いませんでしたよね。

田辺:稲木さんが、そういう志を持って打って出てみたらいかがですか。

稲木:(笑)よくいろいろな方にそう言っていただくのですが、またそういう機会があったら考えてみたいと思います。

田辺:期待しています。最後に当面の活動ですが、アンサンブルでいろいろなところへ出かけるということを積極的にやっているということですが。

稲木:先ほどもお話いたしました、幼稚園から小・中・高等学校、そして公民館、施設、病院などのほか、企業のパーティ、イベント、ブライダルやお葬式にいたるまで、生演奏の派遣を行っています。CDなどの録音素材を流すのではなく、生の演奏をするということは、贅沢でとても素敵な空間・時間になります。BGMでも結構ですので何かネタがほしいと思われましたら、ぜひ一度声をかけていただければありがたいなと思っております。どんなところにでも私たち本物の演奏を派遣します。

田辺:少しの人数でも、あるいは遠くでも出かけてもらえますか。

稲木:もちろんです。静岡県内はもちろん、県外でも伺いますし、少人数の会合も伺います。皆さんが喜んでいただけるような内容をご提供させていただきます。

田辺:わかりました。10月には大きなコンサートがあるんですよね。

稲木:はい、静岡市の教育委員会さんの後援で静岡市文化会館の大ホールで稲木義光のちょっと気軽にクラシックという大きなイベントを行います。本来であれば2000円、3000円の入場料をいただきたいコンサートなのですが、今回は究極のボランティアということで2000名すべて入場無料ということでおこないます。今までコンサートに行ったことがないけれども一度聞いてみようかなと思った方はぜひ足を運んで頂けたらありがたいなぁと、思っております。

田辺:そうですか。日時は。

稲木:10月15日の午後2時からです。

田辺:私も伺いたいと思っております。今日はどうもありがとうございました。

稲木:ありがとうございました。

(本文中敬称略)


次回 2005年 10月 1日(土)予定
諸事情により10月1日号はお休みさせていただきます。




どういうきっかけで静岡で音楽活動を始められたのですか。

何とか自分の力で静岡のそういう文化的な部分を変えられないかということで、静岡での活動にだんだん切り替えてきたんです。

すばらしいなぁとおもうのは、演奏技術やレベルはプロとして一流なのはもちろん、間口が広いんですね。肩のこらないステージを見せてくれる。

『意外とクラシックも面白いんだな』と知っていただく。そこからはじめることが大事かなと思って活動しています。
Back Next

このページの一番上に移動 グリナリー カフェ の トップページへ 過去の 記事を 見る 協賛企業 50音順
2004 (C) Copyright by 21世紀懇話会
All rights Reserved.
グリナリー カフェ の トップページへ