田辺のぶひろの グリナリー・カフェ
第27回 2007年 3月 1日 グリナリー カフェ の トップページへ 過去の 記事を 見る 協賛企業 50音順
田辺のぶひろの グリナリー・カフェ

今月のゲスト ゲストのプロフィール
中田 宏(なかだ ひろし)氏
昭和39年9月20日生

平成 元年 3月 青山学院大学経済学部卒業
平成 元年 4月 財団法人松下政経塾入塾
平成 5年 7月 衆議院議員(神奈川1区)
平成 8年 10月 同 (神奈川8区)
平成 12年 6月 同 (神奈川8区)
平成 14年 4月 横浜市長(1期)
平成 18年 4月 横浜市長(2期)

HP:http://www.nakada.net/

著書:
中田主義−僕の見方、考え方 (平成18年 講談社)
なせば成る 偏差値38からの挑戦 (平成15年 講談社)

今月は中田宏横浜市長をお迎えしました。最年少で政令市の市長に当選してからの活躍は皆さんも御存知の通りですが、この5年間決して平坦ではなかったと思います。市長としての想いや、これから政令市としての街づくりを進める静岡へのアドバイスを伺いました。(田辺)

雛の宴/特別企画:宮中ゆかりの御人形
同時展示:平安王朝の香りを伝える日本刀

とき:
平成19年2月9日(金)〜3月12日(月)
午前10時〜午後5時
(入館受付は午後4時半まで)
木曜休館

ところ:佐野美術館

入館料:一般・大学生 700円
小・中・高校生 300円

お問合せ:佐野美術館
〒411-0838 静岡県三島市中田町1-43
TEL 055-975-7278
FAX 055-973-1790
http://www.sanobi.or.jp/

静岡インドネシア文化祭

静岡で学ぶインドネシア留学生が、インドネシアに伝わる踊りと楽器演奏になどについて、実技と内容説明を交えて御紹介します。インドネシアの多様性に満ちた文化と民族を知る絶好の機会です。
日時:
平成19年3月18日(日)
19:00〜20:45(18:30開場)

場所:アイセル21(静岡中央公民館)1階ホール

入場料:無料

対象:一般の方、留学生関係の皆さん

主催:インドネシア留学生会
後援:静岡大学人文 マスターズクラブ

Greenery Cafe(グリーナリー・カフェ)へようこそ!
グリーナリー・カフェとは「緑の喫茶店」 ナビゲーター田辺信宏とゲストとのトークによるインターネットマガジンです。
様々な分野の第一線で活躍する方に登場していただき、それぞれの分野においてどのようなビジョンを持ち課題に取り組んでいるのか、お聞きしていきます。どうぞご期待ください。
田辺信宏(たなべ のぶひろ)

昭和36年生まれ
早稲田大学(政経)卒業、
松下政経塾、英国留学を経て、平成3年、静岡市議会議員に初当選.
平成7年より静岡県議会議員(3期9年間)
現在は、静岡産業大学国際情報学部講師(国際関係論)
田辺のぶひろホームページ

このホームページに関するお問い合わせは
info@greenerycafe.jp
までお願いいたします。

田辺:ようこそ、グリナリーカフェへ。本日はよろしくお願いします。

中田:よろしくお願いします。 静岡市大好きです。

田辺:ありがとうございます。(笑) さて、さっそくですが、横浜市市政を五年間やってきて色々な成果が出ているかと思います。どの点が一番できて、何ができなかったか、という点についてお聞かせください。

中田:出来たこと、出来なかったことというと裏表ですが、公共の作り方についての意識を変えてもらうということでしょうか。『公共サービス イコール 行政サービスではない』ということを市長になってからずっと言い続けているんです。公共サービスというと潜在的に行政サービスだという思いがあるようで、『あれをやってほしい、これをやってほしい。』という話になってしまう。しかしそうではない。公共サービスというのは別に行政だけが担って、行政だけが供給するものではないし、市民も一緒になって考え、そして作るものであり、場合によっては民間にお願いすることだってある。そういう部分での概念というか、意識を変えてもらうということが非常に重要だったんです。

田辺:市民の力を市政に取り込んでいくということでしょうか。

中田:そういう意味では市民に参加してもらったり、市民自身に担ってもらうということを増やしてきました。そうすることで今まで公共と名が付くと、『行政のどこに電話すればいいんだ』という発想だった人たちの意識がだんだん変わってきて、民がもっと活力を持たなくてはいけないんだ、行政だけでは出来ないのだ、という意識になってきた。また、それは行政にとっても『出来る、出来ない』というこれまでのような対応だけでは市民の満足度が高まらなくなってきました。

田辺:市民の満足度?

中田:行政の仕事はホテルとは違い、たくさんお金を出した人には、たくさんサービスします、という仕事をしているわけではないわけですよね。ホテルではお金をたくさん払えばいろいろなサービスを受けられます。一方で安く済ませたい場合はベッドだけで素泊まり、ということもある。行政の仕事というのは市民も自ら関わらないと、良いサービスが受けられない。そこがだんだん、意識として変わった、というのが、5年間の中で一番変化したところですね。

田辺:なるほど。

中田:ただし、その逆もまたそうで、まだできていないことは何か、と言う質問には、そのことがまだまだだ、ということです。

田辺:民の力を結集して公共経営をしていくというのは、サッチャー政権から始まって、80年代、90年代、と進んできた。そして衆議院議員時代にニュージーランド視察でも目の当たりにしたいわゆる『ニューパブリックマネジメント』の流れを日本でも導入してきた成果だと思いますが、欧米で行われてきた改革ということと、地方自治の経験が乏しい日本にこれを導入するということで、まだ出来ない部分があるのかなぁ、と感じたのですが、真の地方自治という観点ではいかがでしょうか。

中田:ヨーロッパ、イギリスをよく知っているわけではないのですが、欧米には教会文化を中心としたチャリティの気持ちだとか公共に対する気持ちというのはあると思います。それに対して日本はどうかということですが、力をあわせて公共を守っていくということでは、僕はむしろ日本のほうがあったと思いますね。例えばかつては拍子木をたたきながら火の用心を訴えて町内を回っていたわけだし、あるいは町内会で町の掃除やドブさらいをやってきたわけだし。そういう意味では日本のほうが公共を守っていくという思いはあったと思うのですよ。ただ、その街の美化にしてもドブさらいにしても、戦後、皆が忙しい時代に、あるいは行政にも資金力があってサービスを広げていく中で、行政がやれ、というような思考回路になっていき、公共を守っていくという意識が薄れてきた。しかし最近防犯パトロールをそれぞれの自治体が始めたり、という事を考えると、もう一度民が公共の担い手になっていくという要素は大きいですよね。
そしてその延長線上で、例えば子育てであるとか、高齢社会における見回りであるとか、いざという災害時における助け合いであるとかいう部分まで含めて、公共を作っていく上でのモデルを整備していこう、今まで以上に社会の中で意識して作っていこう、システムとして作っていこう、というところは、かつてに戻しましょう、という程度にとどまらない発展的な考え方ではありますよね。そういったことからも僕は欧米より日本の方が意識はあったのではないかと思います。

田辺:なるほど、いわゆる補完性の原理という観点から、まず自分達で出来ることは日本でもやれるんだということですね。しかし、今まで手取り足取りやりすぎてきたので、多少そのあたりで依存心が出てきている。それを分権という風の中で、やれるところは地方でやっていこう、出来ないところは行政が担っていこう、という発想にしていかなくてはいけない、というように理解いたしました。さてその中で地方では最大限の自治能力を持っている政令市・横浜の現行の行政の中で、最も頭を悩ましていることは何でしょう。

中田:これもさっき言ったこととまたさらに裏表になりますが、先ほど公共ということに対する考え方の意識が変化しつつも、まだ変化していない、まだ出来ていないところもあります、とお話しましたよね。変化していないだけならいいのですが、そうではなくてむしろ、変化をしない人たちの中には、『これは行政の仕事、あれも行政の仕事。これも行政が手放してはいけない。』という、抵抗勢力と化してしまう方がいるのが問題でしょうね。もし私も将来に責任を持たなくていいなら、甘い言葉ばかりささやいて将来にツケを残すことをいとわずに今の予算をつけることだけやれば、それは今の人には好かれるかもしれない。しかしそれでは政策ではなくなってしまうし、やがて未来の横浜市に多くの問題を残すことになってしまう。

田辺:そうですね。それでは最後の質問です。日本に14の政令指定都市がある中で、最大の横浜市は人口360万人。一方私たちの静岡市は72万人です。一番小さい政令市であるのですが、私はむしろ政令市の自治能力の中では、70万くらいの都市が最適ではないかな、という想いも持っています。その点について静岡市が今後政令市として、地域経営していく中で、中田市長の経験から大事なポイントとかアドバイスのようなものがあればお願いいたします。

中田:これはおっしゃるとおりだと思います。政令市というのは都道府県と市町村、これを両方兼ね備えた権能があるわけで、今の地方自治の中では自己完結度合いが高い自治体だと思います。その自己完結度合いが高いというのを生かしていく上で、どのくらいが最適な人口かという合理的判断は難しいでしょうが、少なくとも横浜市の360万人というのは非常に大きな規模で、市内での地域性もまったく違うところがありますから、そういう意味で静岡市の70万人というのは私から見ると、むしろ横浜市よりは適した人口規模だと思います。ただこれは静岡市の方も認識していると思いますが、はた目に見ていると旧静岡市と旧清水市がどういうふうにやっていくのかな、と感じますし、このあたりが課題かと思います。横浜市の場合でいうと、私は横浜市を全部一緒じゃないと言っているんです。横浜市も18区あって、『港の横浜』もあれば、『丘の横浜』もある。『高齢化がすすんだ横浜』もあれば、『若々しい横浜』もある。むしろその区自体の『らしさ』、特性というものを生かした『区行政』というのを重視している、というのが、今私が進めていることです。同じように静岡市もそれぞれの個性を十分に良い捕らえ方をして伸ばしていく。それが静岡らしさだ、と言うことを基本とした方がいいと思いますね。そういった意味では静岡市はある意味『もともと分かれていた』というところを良さに、静岡らしさにして、その『集合体である静岡市』という考え方をしていったら良いのではないでしょうか。

田辺:貴重なアドバイスありがとうございます。地域特性を生かした区行政と、その上での市行政ということですね。静岡らしさが出せるように、そして市民の力もあわせた街づくりが出来るよう、私も奮闘したいと思います。
本日はどうもありがとうございました。


中田:ありがとうございました。がんばってください。


(本文中敬称略)


次回 2007年 4月 23日(月)予定

横浜市市政を五年間やってきて、どの点が一番できて、何ができなかったか、という点についてお聞かせください。


『公共サービス イコール 行政サービスではない』ということを市長になってからずっと言い続けているんです。

静岡市が今後政令市として、地域経営していく中で、大事なポイントとかアドバイスのようなものがあればお願いいたします。


私は横浜市を全部一緒じゃないと言っているんです。
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